中富良野の人

住民と観光客が心通わす、新しいボランティアの形

北浦 晋司

北浦 晋司 さん

大阪府出身。なかふらの観光ボランティア初代会長として、地元を盛り上げる活動に参加。カフェ「beberui(ベベルイ)」(中富良野町ベベルイ)の店主でもあります。

偶然が重なって、なかふの住人に

北浦さんがなかふで暮らすようになったのは、不思議な縁によるらしい。親戚から「昔買ったはずの土地を探してきてほしい」と頼まれ、何気なくこの場所に足を踏み入れたのです。しかし土地を特定するのは難しく、思いがけず長期で滞在することに。そのうち山奥で暮らす名物翁と親しくなり、一緒に木材を集め、いつしか家も建て、電気もガスも水道もない仙人のような暮らしをしていたそう。後に妻となる和美さんと出会ったのもこの頃。以来公私に渡るパートナーとして共に歩んでいます。その10年後、2006年に離農する農家の住宅を引き受ける形で、道路沿いの場所へと引っ越すことに。譲り受けた家を改築し、世界中のボランティアスタッフの力を借りてカフェをオープンする運びになりました。

 

地域や人との交流が、暮らしの原点

北浦さんが大切にしているのは、地に足の着いた暮らし。それは地域の人と繋がり、地元のために貢献することでもあります。最初に作った湧水汲み場、農産物の直売所、そしてもちろんカフェも、人が集う場所をイメージして作られたものです。地元の人も通うカフェでは、おいしい湧水を使用したコーヒーやプレートランチなどが大人気。訪れる理由は何であれ、この場所に足を運んだ人たちを、北浦さんは温かな笑顔で歓迎しています。

 

地元情報を伝えることで、なかふの良さをもっと身近に

人を繋げることが得意な北浦さんのもう一つの顔は、観光ボランティア。約10年前から携わっており、当初は富良野駅で観光情報を提供していたそうです(現在は中富良野駅や各イベントなどでボランティアを行っています)。しかし単なる道案内に留まらないのが、北浦さん流。日帰りでラベンダー畑を見に来た客にも、宿泊すれば美しい星空が見えることを伝えるなど、地元ならではの情報を伝えるように心掛けているといいます。肩の力を抜いて、あくまでも雑談するように気軽に。自店においてもボランティアにおいても、北浦さんの心がけは変わらないようです。

 

町民全員が観光のエキスパートへ

既成の枠にとらわれず、自由な発想でボランティア活動に携わる北浦さん。会員同士で集まって勉強会を開いたり、改めて地元の観光情報を洗い直すなど、常にベストな方法を模索しています。会議の参加自体も強制ではなく、楽しくカジュアルな雰囲気に。それは「自分たちが楽しむことで、お客様にも楽しんでもらえる」という思いがあるからです。北浦さんが目指すゴールは、町ぐるみで観光客を歓迎する仕組みづくり。「例えば町の歴史に詳しいお年寄りが、町をガイドしてくれたら楽しいだろうし、子供たちにとっては、海外の旅行客と触れ合う経験が成長につながる。地元の意識を高めることが、なかふの観光の鍵になっているんですよ」。町民全員で力を合わせれば、より可能性にあふれた場所になる。北浦さんの夢はさらに大きく広がっているようです。

 

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